1.超音波ドップラ法を用いた門脈血流の体外計測のためのプロトコールを作製しインフォームドコンセント用紙などを準備した上で、現在約20名のおもに肝硬変患者に対し門脈血流測定を実施した。 プロスタグランディン-E1(PG-1)投与による門脈血流変化の経時変化についてのデータを同時に得ることができた。データ収集途中であり、そのまとめと結果を出すには早すぎるが、肝硬変症例ではPG-1に対する反応は非肝硬変症例に比べて弱く、また遅れて出現する傾向がみられた。 2.上腸間膜動脈経由の門脈造影下CT撮影(CTAP)において肝硬変症例の中に肝実質の造影効果の不良あるいは全く欠如する例が見られる。これらの例では肝動脈の選択的造影で門脈が経動脈性に造影される。また肝細胞癌の治療目的にて油性造影剤を注入した例で、少なからぬ症例で、門脈の描出が確認される。これらの現象は肝sinusoidに至る前の動脈と門脈間に機能的に大きな吻合が存在し、動脈と門脈からの肝への血流比は互いの圧較差によると考えられる。あるいは肝sinusoidに入る圧を大きく必要とする場合に動脈血流が増大すると考えられる。
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