研究概要 |
今年度は,ラット心臓に対しての限局した照射法を確立し,急性期及び亜急性期に採血と心電図で心筋障害の評価を行った.放射線照射は食道癌放射線治療のモデルとするため縦隔に限局して分割照射で行なった.すなわち,照射野は肺を避けるように1.0×3.0cmの心臓に限局して設定し,線量を実測した後に,γ線を30.0Gy/3回/3週(α/β=3で78.0Gy/39回/7.5週)を照射した.22頭に照射を行ない,照射前,照射後3日,照射後2週間に,血中BNP(Brain natriuretic peptide),血中ANP(Atrial natriuretic peptide)を測定するとともに心電図変化を調べた.採血と心電図からみた急性障害及び亜急性障害については,照射前と比較して変化は認めなかった.心筋は高線量の放射線照射を行なっても急性障害が起こりにくいことが示唆された.急性期,亜急性期についても心筋標本を採取して,繊維化やミトコンドリア異常を検討する必要があると考えられた.22頭とも生存中で,本研究の目的である晩期障害を検討する時期まで飼育を続行中である.今後は照射後6か月と照射1年後に採血,心電図,シンチグラムならびに心筋標本採取を施行する.平成14年3月に照射後6か月となるので,1)採血と心電図,2)心筋標本を採取して免疫組織染色によるTGF-β,Procollagen I, Procollagen III発現の評価,3)心筋標本のミトコンドリア異常の検出,4)^<125>I-BMIPPシンチグラムによる脂肪酸代謝の検討を行なう.
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