研究課題/領域番号 |
13670917
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
織内 昇 群馬大学, 医学部, 講師 (40292586)
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研究分担者 |
遠藤 啓吾 群馬大学, 医学部, 教授 (10115800)
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キーワード | ポジトロンCT / F-18-FDG / F-18-FMT / C-11-choline / ソマトスタチン / 遺伝子治療 / オクトレオチド |
研究概要 |
ポジトロンCTは定量性に優れた画像診断である。またポジトロン核種は生体を構成する元素を利用しうるため、生理機能や病態の解明に有利である。脳腫瘍に対する遺伝子導入ならびに発現の画像化と定量化の第一段階として、腫瘍細胞のポジトロン核種標識トレーサー集積の定量評価を行った。星細胞腫SW1088ならびに神経膠芽腫U-118MGのF-18標識deoxyglucose(FDG)の取り込みは細胞数に依存して増加し、それぞれ細胞数15×10^4で26.7%、21×10^4で32.5%であった。また、アミノ酸代謝、すなわち蛋白合成のマーカーと考えられるF-18標識methyl tyrosine(FMT)の取り込みは、SW1088が細胞数7.5×10^4で7.7%、U-118MGは細胞数10.8×10^4で7.4%であった。 細胞膜を構成するphosphatidyl cholineの前駆体であるcholineのポジトロン核種標識体であるC-11標識cholineも腫瘍のイメージングを目的に臨床応用を行っているが、神経膠芽腫細胞のcholineの取り込みも細胞数依存性に増加し、17×10^4で11.2%であった。また、取り込みはインキュベートする温度および時間にも依存し、取り込みは37℃では4℃よりも高く、30分後では10分後よりも高かった。 以上の結果から脳腫瘍細胞は糖代謝、蛋白合成、細胞膜のマーカーであるポジトロン核種標識化合物を取り込み、それらの定量評価が可能であった。これらの化合物は、脳腫瘍をはじめ種々の癌の診断に用いられ、定量的評価が診断に有用であることが明らかにされ、研究発表を別頁のように行った。 次の段階としてこれらの細胞をヌードマウスに移植した腫瘍モデルを作製し、腫瘍への取り込みならびに体内分布の画像化と定量化を行う。また、ソマトスタチン受容体遺伝子を獲得し、細胞への導入を行う。
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