研究概要 |
アルツハイマー病ではアセチルコリン神経系に異常をきたすことが知られていることから,アルツハイマー病モデルラット(ベータアミロイドタンパク(1-40)を側脳室内に持続注入したモデルラット)及び一側前脳基底核を破壊した学習障害モデルを作成しアセチルコリン神経系の変化を調べたところ、ムスカリンアセチルコリンレセプターよりもベサミコールトランスポーターの変化が大きいことが判明した。また、ベサミコールトランスポーターの変化は薬物(副腎皮質ホルモン)あるいは迷走神経下神経節の自家移植にて有意な改善を示した。 そこで,痴呆疾患の分子イメージング剤としてシナプス小胞膜アセチルコリントランスポーターに注目し,ラット脳を用いた薬物阻害実験にて3種のヨードベサミコール類似物質の光学異性体((-)oIV,(-)mIV,(-)vesamicol,(+)oIV,(+)mIV,(+)vesamicol)についてベサミコールトランスポーターとシグマ(α1,α2)レセプターの結合の程度を比較した。その結果,(-)[^<125>I]-oIVは以前に報告した(-)-mIVよりもベサミコールトランスポーターに選択的に結合するのみならず、シグマレセプターとの結合が弱いため、PETあるいはSPECTによるアセチルコリントランスポーターのイメージング剤として有望であることが示された。さらに,このイメージング剤の改良とともに,他のアセチルコリン神経系の分子イメージング薬剤の合成について検討中である。
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