脳組織内の水分子拡散を非侵襲的に測定する拡散テンソル(Diffusion-Tensor)磁気共鳴(MR)画像法は、脳組織内の異方性(水分子の拡散に一定の方向性が認められるもの)の指標であるFractional Anisotropy(FA)を測定し脳組織構築を定量的に評価可能と考えられている。しかし、脳白質内のどのような構造がこの異方性に寄与しているかについてはすべてが明確になっている訳ではない。本研究は脳白質内異方性に寄与する因子(特に軸索と樹状突起の関与について)とそれぞれの因子の寄与の割合について明らかにしようとするものである。 本研究は平成13年度から平成14年度にまたがる複数年研究で、平成13年度は平成14年度の実際のデータ収集、解析に必要なMR画像撮像法、計算画像作成法を確立するための作業を行った。 1.画像解析用プログラム作成に適したIDL(Interactive Data Language;Research System)を導入し収集画像から計算画像を作成するプログラムを作成し、これが正常に動作することを現有の画像データを使用し確認した。このプログラムにより、実験用超伝導2.0テスラMRスペクトロメーターで収集した3次元(3D)MR生画像データを画像化し、それらの画像より水分子の拡散の代表的な指標であるADC(apparent diffusion coefficient)及びFractional Anisotropy(FA)値を反映した計算画像が得られた。 2.脳3D拡散テンソルMR画像撮像方法の確立のため、実験用超伝導2.0テスラMRスペクトロメーターの現有の撮像用基本プログラムに3D-diffusionMR画像の撮像を可能にする変更を行っている。
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