拡散テンソル磁気共鳴(MR)画像法は水分子の微視的な拡散を計測することで組織における微小構造や生理的状態を評価するための有望な非侵襲的方法として提案された。 水分子の無秩序な動きである微視的な拡散は、媒質の微小構造や生理学的な因子により修飾を受ける。脳白質内の3次元的な拡がりの中では水分子の拡散はすべての方向に同じという訳ではなく、撮像voxel単位においては髄鞘、軸索や神経路などの特徴的な規則性を持った構造に起因する異方性を有し、その単位時間内での拡がりは楕円体で表現できる。その結果、この楕円体の性質を定量的に評価することは脳白質についての有用な生理学的及び組織学的な情報を含む構造についての定量的な情報を得ることが可能であると考えられる。 後期胎生期から生直後rat脳灰白質内に成体ratには認められない異方性が観察される。この時期のrat脳灰白質の異方性の変化を定量的に測定し組織学的変化と対比して解析し脳内に異方性を生じる要因を明らかにすることとその寄与の大きさを調べることは、拡散テンソルMR画像法のもたらす情報を評価する上で必要なことと考えられる。 本研究では、出生前後の正常ratの灰白質内異方性を表す指標を測定し、組織標本を作成し比較検討する事により異方性に寄与する因子(特に軸索と樹状突起の関与について)を明らかにするために必要な実験用MR装置を用いた撮像法の確立、画像解析用アプリケーションの作成、出生前後の正常rat脳標本拡散テンソルMR画像の撮像及び脳組織標本を用いた樹状突起の発育程度評価の方法についての検討を行った。
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