研究課題/領域番号 |
13670935
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 修 大阪大学, 医学部, 教授 (50159969)
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研究分担者 |
鈴木 和年 放射線医学総合研究所, ユニット長 (90162932)
細井 理恵 大阪大学, 医学部, 教務職員 (30291446)
小林 薫 大阪大学, 医学部, 助教授 (90256933)
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キーワード | cAMP / NO / 受容体結合 / インビボ / インビトロ |
研究概要 |
種々の神経受容体結合活性と細胞内情報伝達物質との関連を明らかにする目的で、ラット線条体にサイクックAMP(cAMP)の関連物質を直接微量注入する方法を用いてドーパミンD_1、D_2受容体、ムスカリン性セチルコリン(mACh)受容体のインピポ結合をオートラジオグラフィー法にて測定した。 ドーパミンD_1受容体のインピボ結合はcAMPの誘導体であるdb-cAMPにより著明に増加し(200%以上)その結合の増加はprotein kinase A(PKA)の阻害剤であるRp-cAMPsによって完全に抑制された。結合の和実験および経時的動態を解析した結果、標識リガンドと受容体との2分子結合速度定数が増加しているこが示唆された。これらの現象は従来インビトロの系で行われているD_1受容体のcAMPによるdown-regulationとは逆の現象である。同様の現象がD_2受容体およびmACh受容体の結合に関しても観察された。 さらに一酸化窒素(NO)のドナーを微量注入するとD_1、D_2受容体共にそのインビボ結合は著明に増加したが、脳切片を用いたインビトロのオートラジオグラム上ではNOによる結合の変化を認めなかった。 またcAMPの誘導体であるdbcAMPをラット脳に微量注入すると糖代謝が抑制され、逆にPKAの阻害剤あるRpcAMPsにより、著明な糖代謝の亢進が観られた。即ち脳の糖代謝の制御にPKAが関与していること並びにその方向性は従来の細胞レベルでの所見と逆に作用していることが判明した。他方これらの薬物により血流と糖代謝との間に著しいuncouplingが生じた。以上のように、脳のPKAは、循環、代謝および受容体結合に大きく関与していることを明らかにした。現在PETに応用可能な賦活試験法について検討を加えている。
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