研究概要 |
(1)Selective IR tagging pulseを付加した心電図同期併用の呼吸停止下3D FASE法による非造影MRAを用いて、脾静脈および上腸間膜静脈からの血流分布を門脈本幹内および肝内門脈枝において検討した。対象は正常ボランティア17例で、MR装置は東芝社製1.5T VISART/EXを用い、body-array coilを併用した。まず心電図同期併用の呼吸停止下3D FASE法(TR=2 or 3 R-R間隔,ETS=5msec, TEeff=80msec, TI=180msec,スライス厚=3.5mm,スライス枚数=16)によりtagging pulseを付加しない非造影MRAによる門脈系の撮像を行った。続いてtagging pulseをそれぞれ上腸間膜静脈(TAG-A)、脾静脈(TAG-B)、この両者(TAG-C)に付加した非造影MRAを撮像し、tagのかかった血流の分布の評価を行った。門脈本幹および肝内門脈枝内のsignal lossの有無とその存在部位について検討した。結果として、1)Tag無しMRAでは門脈、上腸間膜静脈、脾静脈は明瞭に描出された。2)TAG-Aを付加した場合、signal lossは門脈本幹内では右側優位に認められた。3)TAG-Bを付加した場合、signal lossは門脈本幹内では左側優位に認められた。4)TAG-Cを付加した場合、signal lossは門脈本幹全体に認められた。以上のことから、Selective IR tagging pulseを付加した心電図同期併用の呼吸停止下3D FASE法による非造影MRAにより、脾静脈および上腸間膜静脈から門脈内への血流分布が評価できる可能性が示唆された。 (2)上記結果は、TagなしMRA画像とTagありMRA画像を別々に撮像したあと、side by sideでの比較を行い得られたものであるが、問題点として、より末梢門脈枝での血流分布の評価が困難な点があった。現在、1回の呼吸停止下の撮像内でTagging pulseのon, offを繰り返すことにより、位置ずれのないTagなしMRA画像とTagありMRA画像を同時に撮像する方法を開発しており、その両者のサブトラクション画像をつくることによって、より末梢門脈枝レベルでの血流分布の評価の可能性について検討中である。
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