研究課題/領域番号 |
13670948
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
小川 恭弘 高知医科大学, 医学部, 助教授 (90152397)
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研究分担者 |
西岡 明人 高知医科大学, 医学部, 助手 (70237668)
小林 俊博 高知医科大学, 医学部, 助手 (40153621)
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キーワード | リンパ球 / Tリンパ球 / アポトーシス / 放射線 / ミトコンドリア |
研究概要 |
ヒト末梢血リンパ球は、放射線照射に対して高い感受性を示し、人類はもちろんほ乳類が放射線に弱いことの大きな原因となっている。末梢血リンパ球は、通常は分裂・増殖を行わなず、また、未分化でもないことから、その放射線高感受性の原因については、これまでの放射線生物学の概念にあてはまらないものとして、その解明が期待されてきた。今年度の研究では、フローサイトメトリおよび蛍光顕微鏡、顕微鏡ビデオシステムならびに種々のモノクローナル抗体を用いて、ヒト末梢血リンパ球もしくはTリンパ球の、各線量の放射線照射後の形態学的変化〜アポトーシスについて経時的に観察し、ミトコンドリア膜電位変化、ミトコンドリアからのチトクロームCの放出時期について検討した。その結果、Tリンパ球は、5Gy照射後6時間後ではミトコンドリア膜電位変化を認めなかったが、10時間後には、約半数のTリンパ球は変化を来し、初期アポトーシスを示した。その一方、チトクロームCのミトコンドリアから細胞質への遊離は、5Gy照射10時間ではほとんど認めず、20時間後では細胞質へほぼ移行した。したがって、放射線によるTリンパ球のアポトーシスは、チトクロームCの遊離開始以前から始まっていることが判明し、Tリンパ球の放射線誘発アポトーシスにはチトクロームC〜Apaf-1〜caspase-9〜caspase-3を介したメカニズムの他に、新たなアポトーシスメカニズムの存在が示唆された。
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