吸収補正には、外部線源を用いたtransmission computed tomography (TCT)法が、従来より用いられている。最近、TCT法に代わりCT(CT法)を利用する方法も開発されている。今回、TCT法およびCT法の吸収補正における有効性をファントムおよび臨床例による検討を行った。TCT法は、非対称ファンビームコリメータ(AsFコリメータ)を装備した2検出器型ガンマカメラ(東芝社製GCA 7200)およびファンビームコリメータを装着した3検出器型ガンマカメラ(Picker社製prism 3000)を使用し、CT法は2検出器型ガンマカメラSkyLight (ADAC)と8列のMDCT (Lightspeed Ultra ; GE)で、CTベッドにてCT撮像およびSPECT撮像を可能としたCT/SPECT combined systemを用いた。 T1-201心筋SPECTを想定したAnthropomorphic phantomを用いた基礎的検討では、TCTおよびCT法共に、左室下壁の吸収によるカウント低下は補正により改善し、心筋全体の均一性が改善された。また、TCT法においては、散乱線補正を加えることのより病変コントラスが改善し、定量性も向上した。 T1-201心筋SPECTによる臨床評価では、冠動脈疾患の診断能に関して右冠動脈および左回旋枝領域の特異度の向上を認めたものの、左前下行枝領域の特異度は低下する傾向を認めた。TCT法は既設の2検出器型ガンマカメラで使用でき、右冠動脈や回旋枝領域の特異度を向上させ臨床的に有用と思われた。しかし、左前下降枝領域では、特異度が低下する傾向を認め、これを補正するためには、空間分解能の補正も必要と思われる。 CT法では、CTの画質は高画質なので、吸収補正の有効性と共に、融合画像の有効性も検討した。融合画像は、種々のSPECTが施行された57例中50例(84%)で、SPECTの集積部位の同定に加え、臨床的に有用な情報が得られた。具体的には、生理的集積と病的集積の鑑別、良性および悪性の鑑別、腫瘍の病期診断、腫瘍再発の診断等に有効な情報が得られた。 TCT法は心筋SPECTに有用で、CT法では吸収補正に加え、融合画像による腫瘍シンチの診断にも有用と思われた。
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