研究概要 |
平成13年度においては以下の2点に関して実験をおこなった。 1.非担癌ラット(5匹)の皮膚に集束超音波を照射し、照射直後に屠殺した。当該部位をホルマリン固定し、その組織切片を用いて照射効果を光学顕微鏡にて病理組織学的に検討した。 照射条件は以下のとおりである。ラットNO1:100WX10sec,ラットNO2:100WX5sec,ラットNO3:100WX5sec,ラットNO4:50WX10sec,ラットNO5:50WX15sec。全例で径4mm程度の体表変性を確認した。 結果:照射部位は肉眼的に熱による色調変化を来たし、白色調に明瞭に観察された。病理組織学的には当該部位の壊死と周囲の炎症が著明で、細胞の膨化・核濃縮・細胞膜損傷に伴う細胞破壊、更に脈管の断裂と閉塞・出血・炎症細胞浸潤等の所見が観察された。 2.KDH肝癌の培養細胞をラットの皮下に植え込み、発育腫瘍に集束超音波を照射し、照射直後に屠殺した。当該部位をホルマリン固定し、その組織切片を用いて治療効果を光学顕微鏡にて病理組織学的に検討した。結果:腫瘍の照射部位は1.と同様白色調の色調変化が認められた。病理組織学的には腫瘍の壊死、変性と腫瘍血管の断裂・閉塞、並びに炎症細胞浸潤が観察された。細胞レベルでも1.同様腫瘍細胞膨化や細胞破壊が観察された。 以上の結果より本年度は正常皮膚のみならず移植肝癌に対して集束超音波は変性壊死を惹起せしめること、さらにその誘因として脈管の閉塞や断裂が関連していることを明らかとした。
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