研究概要 |
放射線治療を効果的に行うには、個々の腫瘍に対する放射線効果や、各腫瘍の放射線感受性を定量的に把握する必要がある。そこで、本研究"ポストゲノム時代の放射線治療における腫瘍感受性の視覚化"では、個々の腫瘍に対する放射線治療効果を定量的に判断出来るように、MRI、ESRを用いて非侵襲的に放射線照射効果を視覚化しようとしている。 平成14年度では、以下の2点について検討を行った。 1.L-バンドESRオキシメトリ一法の高精度化 昨年度組み上げたオキシメトリーシステムを用いると、腫瘍内組織の酸素濃度を測定可能であることを示した。放射線治療が可能かどうかの判定をするには、組織内の酸素分圧を高精度に測定する必要があり、装置の高精度化を行うには磁場の安定性が重要になる。そこで、本年度は,ESRの主磁場を高精度にコントロールする回路、および、磁場安定化電源を加え、さらに磁石の周りの温度安定性を上げるように装置を改良した。その結果、測定可能な酸素濃度の精度を1桁上げることが可能で、現在、30mmHgと40mmgの酸素分圧の判定が可能となった。 2.酸素感受性プローベの開発 昨年度までの、グルコースベースからなる酸素感受性活性炭を製作することが出来たが、問題はスピン濃度が上げられないところであった。本年度は、賦活化の過程について詳細な検討を行った。改良点は、賦活時に十分な圧力が賭けられるように、装置の改良を行い、加熱時の温度を従来よりも高く、また添加する水分も増加させ、賦活化の効率を上げた。その結果、グルコースのスピン濃度を50倍に上げることが出来た。
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