平成15年度は、我々が考案した動物用定位放射線照射システムにおいて、その精度をより臨床のレベルにまで近付けるべく改良を行った。 平成14年度に構築したX-Knife(Radionics社製USA)を用いた治療計画システムにおいては、ファントム実験においてフィルム法による照射野形状、照射線量の測定を行っているが、我々の定位放射線照射装置の動作は安定しており、φ1cmのコリメーターを用いて5arcsの定位放射線照射を行った(中心線量20Gy)時の線量分布は15、18Gyの等線量曲線で囲まれる面積を比較し、その誤差が20%程度であり再現性よく照射可能であることが証明された。しかし治療計画用CT撮像を行い、その後定位放射線照射装置再固定する場合に、球状ファントムではgeometryの再現性の評価が困難であったため、平成15年度では、照射装置のear-bar、上顎固定具の相対的位置関係が同一なCT撮像用頭部固定具の設計、製作を行った。またこれを用いてファントム実験を行い、さらなる改良を加え、その再現性について検証を行った。予めファントム内のfilm gap内にマーカーを貼り、そのファントム内の位置を把握しておく。このマーカーを中心にSRS(5arcs、中心線量;20Gy)の計画を行う。一方、治療計画に従い、GAF Chromic filmを内蔵したファントムを動物用照射装置で実際に照射行い、治療計画上での線量分布と比較した。マーカーの位置を球の中心から5mm、1cmのスライス上としたが、いずれも照射野形状の差は面積で20%程度と、再現性が保たれていた。今後動物実験において、臨床に則した条件での実験が可能となった。
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