研究概要 |
1)RIのリンパ系への移行について 動物を用いた実験先立ち、臨床症例においてRIが血管外に漏出した症例を対象として、RIのリンパ節への移行を検討した。^<99m>Tc MDP,^<99m>Tc-MIBI,^<18>F-FDGについて、上肢の所属リンパ節が存在する腋窩領域のリンパ節描出を検討した。しかし、腋窩リンパ節の描出率は、^<99m>Tc MDPで17%、^<18>F-FDGで12%と低値にとどまった。また、^<99m>Tc-MIBIに関しては、RIの血管壁への付着の影響で評価が困難であった。これらの結果から、腫瘍親和性RIのリンパ系への移行は単独では良好とはいえず、コロイド製剤と混和あるいは結合させての検討が必要と考えられた。 2)RIのリンパ系移行の促進について コロイド製剤の粒子径を変更することにより、移行が促進するか否かについて、乳癌症例を対象にスズコロイドの粒子径を変更させて検討した。その結果、中心粒子径が400-1000nmの標準標識のスズコロイドでのセンチネルリンパ節描出が70%であったのに対して、200-400nmの小粒子化スズコロイドでは100%の描出率を得た。粒子径の最小化はリンパ系移行の重要な因子と考えられた。 3)センチネルリンパ節に移行したRIの移行を高感度に画像化する技術について 少量のRIの画像化にあたっては、投与部位からの散乱線を除去する技術の確立が必要と考えられた。このために、シンチグラム上でバックグランドのカウントを数学的に除去する方法を検討した。センチネルリンパ節が存在する局所のバックグランドを部分的に除するGoris法により、68%の症例において描出されるセンチネルリンパ節の数が増加した。
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