研究概要 |
1)センチネルリンパ節へのRI標識分子の停滞率 前年度の結果をふまえ、RI標識分子の停滞率の改善に関して検討した。血管壁への親和性を有する^<99m>Tc-MIBIを除いた腫瘍親和性核種^<99m>Tc MDP,^<18>F-FDG,^<67>Ga-citrateについてコロイド製剤^<99m>Tc-tin colloid,^<99m>Tc-phytateと混合させ、これらの核種のコロイドへの吸着をクロマトグラフィにより検討した。何れの核種においてもコロイド製剤との混合によりピークの変化は有意ではなく、コロイドへの吸着は不良と考えられた。 2)センチネルリンパ節へ移行したRI標識分子の画像化の工夫 センチネルリンパ節へ停滞する腫瘍親和性分子の量が非常に少量であったことから、従来の画像処理では微小転移の画像化は困難と考えられる。バックグランドを除去する方法として、新たに尾川らが発表したABS法について検討した。食道癌症例20症例を対象とした検討で、80%の症例でセンチネルリンパ節のコントラストの改善が認められたが、同時に偽陽性所見も増加した(手術症例が少ないため偽陽性頻度の算出は困難であった)。体輪郭とセンチネルリンパ節との同時描出について、1次線成分と散乱線成分の除算による方法を検討した。全例でセンチネルリンパ節と体輪郭の良好な描出が得られたが、微小転移の描出にはコントラスト不十分であった。 3)小型ガンマカメラの導入 微小転移の画像化には、検出器の感度の改善が必要であるため、半導体検出器を利用した小型ガンマカメラの応用を検討した。小型ガンマカメラは、シンチレータ利用の従来型ガンマカメラに比して、画像のコントラストが良好であった。しかし、半導体検出器においてもコリメータの装着が必須で、感度の有意な改善を認めなかった。
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