研究概要 |
ラット(ウイスター系,雄,10週齢)を、コントロール(C)群,放射線コントロール(RC)群,放射線+治療(RT)群の3群に分けた。今迄と同様に、放射線照射は左肺片側に20Gy一回とした。RT群には、肺臓炎を抑制する目的で酢酸メチルプレドニゾロン2mg/kgを週1回、4週目まで筋注した後にインターフェロン(IFN)-γ4μg/kgを週3回皮下注した。C群とRC群にはIFN-γ溶液中のエンドトキシンを同量含む生食水を同様に週3回皮下注した。放射線照射後の8週目、16週目と24週目に肺を摘出し、HE及びAzan染色の肺組織所見、肺組織のNMR緩和時間T_1と、肺組織中のTGFβ_1及びconnective tissue growth factor(CTGF)のmRNA発現レベルをRT-PCR法で検討した。RC群の8週目におけるCTGFのmRNA発現レベルのみ有意に上昇していたが、IFN-γによる肺線維症の抑制効果は認めなかった。 今回の結果は、放射線性肺線維症の発生機序が特発性肺線維症の発生機序と異なることを示唆する一方で、次の原因によってIFN-γの肺線維化に対する抑制効果を認めなかった可能性も考えられた。まずinsultが強すぎた可能性(照射線量の問題)があること、次に比較的大量のステロイド剤がIFN-γの効果を抑制した可能性があること、さらにIFN-γの投与開始時期が遅すぎた可能性(投与時期の問題)があることである。そこで来年度は、照射線量を10Gyとし、ステロイド剤を投与せずにIFN-γ単剤で、照射前日、照射後1週目と2週目のIFN-γ投与開始時期を変えた3群にRT群をさらに分けて検討することとする。また肺組織の線維化程度を評価する指標に、ヒドロキシプロリンを加える。
|