研究概要 |
基礎的検討として正常ボランテイア5名に対して塩化エドロホニウム(アンチレクス)静注によるダイナミックMR涙道造影を施行した。臨床用1.5テスラ装置を使用し,SN比向上のため受信用コイルとして直径4cmの小径コイルを用いた。撮像パルスシークエンスは,高分解能TGSE法(撮像時間28-35秒)およびsingle-shot RARE法(撮像時間7.1秒)を用い、ダイナミックMR涙道造影の経時的な変化から流涙による流嚢がら鼻涙管の描出の状態を観察した。この基礎的検討結果から塩化エドロホニウム(アンチレクス)の至適投与量と至適撮像パルスシークエンスを設定した。ついで基礎的検討で設定した撮像プロトコールを用い、シェーグレン症候群が疑われる患者15名に対してダイナミックMR涙道造影を施行した。これらの症例に対して、さらに口唇腺生検によるシェーグレン症候群の確定診断と病期判定,眼球乾燥試験(Shirmer test, Rose bengal test)および涙腺生検による涙腺分泌機能障害の判定在行った。これらのデータから、ダイナミックMR涙道造影所見と、口唇腺生検、涙腺生検の病理組織所見と眼球乾燥試験所見との比較検討を行った。検討症例数はまだ限られているが、ダイナミックMR涙道造影が涙腺分泌機能の客観評価法として有用であることが示唆された。
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