研究概要 |
ICD-10の非定型自閉症(atypical autism : AA)児87人(平均月齢=55.0, SD=13.7;男75,女12)と小児自閉症(childhood autism : CA)児33人(平均月齢=57.9, SD=15.0;男26,女7)(月齢に有意差なし)で、早期発達、全訂版田中ビネー知能検査IQ、小児自閉症評定尺度東京版(CARS-TV)総得点と15項目得点、けいれん発作などを比較した。両群で、性比、出生時体重、歩行開始月齢、初語月齢に有意差はなかった。測定されたIQは、AA群63人(M=58.1, SD=16.6)でCA群16人(M=41.4, SD=13.2)より有意に高く(t(77)=3.75, P<0.001)、IQ未測定例は臨床的に遅滞水準が判定され、全例が、IQ70以上、軽度遅滞(70>IQ≧50)、中度遅滞(50>IQ≧35)および重度遅滞(35>IQ)に分類されたが、AA群がCA群よりも有意に遅滞が軽かった(U-test, p<0.001)。CARS-TV総得点は、AA群87人(M=29.2, SD=2.7)でCA群33人(M=31.9, SD=2.8)より有意に低かった(t(118)=4.93, p<0.001)。項目得点は、分離不安などに関する第10項目と知的機能不均衡に関する第14項目で両群に有意差なく、近接受容器の反応性に関する第9項目と非言語的コミュニケーションに関する第12項目でCA群の得点が高い傾向があったが、他11項目はCA群が有意に高得点であった。有意味語消失は、AA群(14.9%)でCA群(33.3%)より有意に少なく(Fisher's test, p<0.05)、てんかん発作の比率は、AA群(1.1%)とCA群(3.0%)で有意差はなかった、非定型自閉症は、自閉症より自閉症状が軽く精神発達が良好と思われるが、今後、多数例の追跡による検討が必要である。
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