研究課題/領域番号 |
13670984
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 進昌 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (10106213)
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研究分担者 |
増井 晃 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80190346)
定松 美幸 東京大学, 保険センター駒場支所, 講師 (90252387)
黒木 則臣 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40322052)
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キーワード | 神経再生 / 神経細胞死 / 海馬 / てんかん / ノダてんかんラット / トリメチル錫 |
研究概要 |
初年度である本年度は、薬物誘発性てんかんモテルであるトリメチル錫(TMT)投与モデルと自発性てんかんモデルであるノダてんかんラット(NER)について、海馬における神経再生を主に免疫組織染色を用いて経時的に検討した。神経再生のマーカーとして、Ki67・BrdU(分裂している細胞)、NeuroD1(歯状回顆粒細胞の前駆細胞)、βIII-tubulin(Tuj1)・PSA-NCAM(神経前駆細胞)等を使用した。その結果、TMTモデルでは海馬歯状回のいわゆるsubgranular zoneを中心に投与5日目から7日目にかけて神経再生が著しく低下し、その後14日目から次第に回復しはじめ、28日目には対照にかなり近い状態を呈した。この結果はTMTの海馬傷害作用と関連があり、神経細胞死についてはコルチコステロンの血中濃度上昇とグルココルチコイド・タイプII受容体が関連することが明らかになった。一方NERでは、部分発作を呈する7週齢において対照と比較してsubgranular zoneにおいて上記マーカーの陽性細胞数が低下しており、全般化発作にいたる12週齢では神経前駆細胞は対照と差がなかった。また、7週齢NERではアポトーシスの指標の一つであるCaspase-3の発現も低下していた。このことから、このモデルでは発達期から自発性発作が出現する時期にかけて、神経細胞のturn overが低下していると考えられ、これがNERの発作発現機序と関連する可能性が示唆された。 これらの結果についてそれぞれ昨年のアメリカ神経科学学会、日本神経科学学会、日本生物学的精神医学会においてポスター発表し、うち数編は次頁のとおり原著論文として掲載され、その他についても現在投稿準備中である。
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