研究課題/領域番号 |
13670984
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 進昌 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (10106213)
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研究分担者 |
増井 晃 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80190346)
定松 美幸 東京大学, 保健センター, 講師 (90252387)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 神経再生 / 神経細胞死 / 海馬 / てんかん / トリメチル錫 / ノダてんかんラット / グルココルチコイド / 神経ペプチド |
研究概要 |
本年度は薬物誘発性てんかんモデルであるトリメチル錫(TMT)投与ラットと自発性てんかんラットであるノダてんかんラット(NER)に生じた神経再生に対する神経内分泌系や免疫系等の関与について検討した。TMTモデルについて、神経内分泌系では先行研究で神経再生に関与することがすでに知られているニューロペプチドY (NPY)を中心に検討した。免疫染色を用いた実験で、NPYはTMT投与後4日目から上昇し、16日目では対照と同じレベルまで低下した。In situ hybridization法により、NPYmRNAはNPY発現に先立って増減することが明らかになった。NPY発現はその経時的変化と部位からTMTによるむしろ神経細胞死を生じる部位と経過に関連することが示唆された。免疫系について、グルココルチコイドの増加が神経再生を抑制することが知られており、TMTモデルに対しコルチコステロンの合成阻害薬であるメチラポンを投与することによりグルココルチコイドを抑制した結果、3日目から5日目にかけての神経細胞数の減少には変化がなかったものの、14日目では対照と比較して歯状回顆粒細胞数が増加していた。サイトカインの中では、IL1α・βについて組織学的に検討した結果、TMT投与後に増加したIL1α・βはアストロサイトのマーカーであるGFAPと二重染色された。近年アストロサイトと神経幹細胞の分化・増殖が密接に関連する報告が相次いでおり、今回の結果については更なる検討が必要である。NERについて、自発発作が確立した12週齢ではNPY発現は海馬歯状回において持続的に認められた。また、NPYmRNAについても発作後4時間ですでに海馬歯状回で増加が認められており、約24時間後には対照レベルまで低下していることが示唆されるなど、TMTとは異なる結果が得られた。昨年度の結果から、両モデルでは神経再生の機序が異なることを示したが、本年度の結果はそれぞれに対する神経内分泌系・免疫系の関与も異なることが示唆された。
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