研究概要 |
シナプス小胞からの神経伝達物質の放出に関与する前シナプス側の蛋白(Synaptotagmin I, synaptotagmin IV, SNAP25a, SNAP25b, synaphin1,synaphin2)のmRNAを取り上げ、精神刺激薬投与による影響を検討した。メタンフェタミン(METH)急性投与によりsynaptotagmin IVのmRNA発現は線条体と側坐核に於いて増加し、これはSCH23390の前処置によって阻止された。またメタンフェタミン(METH)急性投与によりSNAP25aのmRNA発現は線条体と海馬歯状回に於いて増加し、これはSCH23390の前処置によって阻止された。METH急性投与によりSNAP25aのmRNA発現は線条体、側坐核に於いて増加し、これらもSCH23390の前処置によって阻止された。METHの反復投与から3週間後のMETH再投与は線条体、側坐核、歯状回に於けるsynaptotagminIVのmRNA発現の増加を有意に増大させた。SNAP25aのmRNAはMETH慢性投与後の定常状態でも有意な増加が認めらた。PCP10mg/kg急性投与によりsynaptotagmin IVのmRNAは帯状回皮質後部で有意に増加したが、PCPの慢性効果による増強は認められなかった。以上の結果はsynaptotagmin IV とSNAP25aのmRNA発現が主にドパミンD1受容体依存性に増加し、METH反復投与による行動感作(逆耐性現象)に関与している可能性を示唆する。
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