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2002 年度 実績報告書

側頭葉てんかんの神経機構における海馬顆粒細胞新生とシナプス再構成

研究課題

研究課題/領域番号 13671011
研究機関香川医科大学

研究代表者

森本 清  香川医科大学, 医学部, 助教授 (20166432)

研究分担者 平尾 徹  香川医科大学, 医学部, 助手 (10314915)
渡辺 岳海  香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (50304598)
キーワード側頭葉てんかん / カイニン酸モデル / 顆粒細胞新生 / NMDA受容体 / 錐体細胞脱落
研究概要

カイニン酸の脳局所投与による側頭葉てんかんモデルを用い,歯状回顆粒細胞新生のてんかんにおける役割を検討した.ラットの左側扁桃核に慢性ガイドカニューレを挿入手術し,カイニン酸を扁桃核に微量投与した.ラットをカイニン酸のみを単独に投与したグループ,非競合性NMDA受容体拮抗薬のMK-801を1回前処置したグループ,MK-801を3回処置したグループに分けた.これらのグループ間で,NMDA受容体拮抗薬の顆粒細胞増殖と錐体細胞脱落に対する効果を検討した.海馬歯状回顆粒細胞層におけるbromodeoxyuridine(BrdU)陽性細胞数を免疫組織化学法で検出し,CA1,CA3領域における細胞脱落を評価した.カイニン酸注入側CA1およびCA3領域で,対照群と比較して有意な細胞脱落と変性を認めたが,注入反対側では,注入側のような細胞脱落や変性は認められなかった.カイニン酸を投与したラットで,注入側および注入反対側の歯状回顆粒細胞層におけるBrdU陽性細胞が著明に増加しており,対照群との間に有意差を認めた.MK-801の単同前処置は,カイニン酸投与後の歯状回顆粒細胞分裂に影響しなかったが,MK-801を3回投与した場合は軽度の抑制効果がみられた.MK-801はカイニン酸投与後のCA1錐体細胞脱落に対して細胞保護効果を示したが,CA3に対しては効果がなかった.カイニン酸投与による辺縁系発作重積は両側海馬における歯状回前駆細胞の分裂を著明に増加させ,その後のシナプス再構成などてんかん原性変化の成因となる可能性が示唆された.MK-801の3回投与でCA3の細胞脱落は影響されないにもかかわらず,顆粒細胞分裂が抑制されたことから,神経細胞脱落は顆粒細胞の前駆細胞分裂促進に必須ではなく,NMDA受容体の活性化が部分的に発作重積後の前駆細胞分裂促進に関与していることが示唆された.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 森本 清, 平尾 徹: "グルタミン酸受容体:発作発現とてんかん原性における役割"分子精神医学. 1・4. 367-374 (2001)

  • [文献書誌] Kodama K, Yamada N, Sato K, Sato T, Morimoto K, Kuroda S: "The insular but not the perirhinal cortex is involved in the expression of fully-kindled amygdoid seizures in rats"Epilepsy Research. 46. 169-178 (2001)

  • [文献書誌] 森本 清: "てんかんの神経科学研究の現況と展望"てんかん学の最前線. 3. 1-5 (2002)

  • [文献書誌] 二宮貴至, 森本 清, 渡辺岳海, 平尾 徹, 安原 治, 木村 宏, 洲脇 寛: "側頭葉てんかんにおける海馬歯状回顆粒細胞新生の病理学的意義-カイニン酸モデルを用いた実験的研究"てんかん研究. (印刷中). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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