研究概要 |
妊娠後期から、出産、産褥3ヶ月まで、胎児・新生児の動きと母親の活動量、および母親の生理学的意識レベルとの関係の検討を行っている。さらに産褥期うつ状態でもっとも訴えが多い不眠について、精神生理学的検討を行っている。 1,胎児の動きとの関係について 本研究のためにオリジナルに開発した胎動ピックアップセンサーが順調に動き、データが収集されつつある。母親との生理学的意識レベルとの関係について新たな知見が見出されつつある。現在、データ解析中である。 2,新生児の活動量と母親の活動量との関係 出産3,6,9,12週後の子どもの活動量と母親の活動量との間に強い同調が見られた。新生児は、誕生3週には、すでに概日睡眠覚醒リズムがあることを論文に発表し、さらに総説にまとめた。 3,産褥期に適応できずに、うつ状態になる母親の多くは、不眠を訴え、母乳を希望してもなかなかできずに、人工乳になることが多い。適応した母親は、睡眠時間は短いが、徐波睡眠が多く、乳汁ホルモンとして知られているプロラクチンも一役かっている結果を得ている。(日本睡眠学会、東京、2003)現在、論文作成中。 4,一組の母子の実験で、ほぼ5ヶ月を要し、なかなか例数を増やせない悩みがある。方法が新しいため、コントロール群が中心になっている。うつ状態のケースを求めているが、あらかじめ選べる状態でないのでとにかくコントロール群を増やすなかにうつ状態の産褥婦を見つけ、うつ状態になったケースについては、治療や育児援助をしながら、研究協力をお願いする方向で研究をすすめている。インフォームドコンセントが得られた例に限っているため、例数が集まらないだけでなく、協力参加を得ても不完全なデータ収集になっている。今後も追跡予定である。
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