研究課題/領域番号 |
13671047
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岡田 誠治 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50282455)
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研究分担者 |
幡野 雅彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20208523)
徳久 剛史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20134364)
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キーワード | 造血幹細胞 / BCL6 / BAZF / 転写抑制 / B細胞 / c-fos |
研究概要 |
血球の分化や増殖・その機能発現には、様々な転写因子が関与している。これらの転写因子の機能を制御することにより血球の機能の制御が可能になると考えられる。本研究では、転写抑制因子BCL6の作用と転写因子c-fosによる血球分化制御機構について解析し、以下のような結果を得た。 1.転写抑制因子BCL6と相同遺伝子BAZFによる血球分化制御 1)BCL6とBAZFの機能解析: BCL6とBAZFがともにSTAT6結合領域に結合すること、その結果STATの転写活性を抑制しうることを証明した。また、BTB/POZ領域とBCL6とBAZFに共通な中央部の17アミノ酸領域に転写抑制活性があることを示した。 2)BCL6によるB細胞の機能解析: BCL6ノックアウトマウスを免疫しても胚中心は形成しないが記憶B細胞はできることを見いだした。しかしこれらの記憶B細胞では体細胞変異は起きなかった。BCL6は胚中心形成と体細胞変異には必須であること、記憶B細胞分化には胚中心形成が必須ではないことが判明した。 レトロウィルスを用いて造血幹細胞にBCL6を強発現させ、放射線照射したScidマウスに移植したところ、B細胞への分化がPro B細胞の段階で阻害されていた。In vitro培養系でも同様の結果が得られたが、T細胞・骨髄系細胞への分化異常は認められなかった。また、Pro B細胞ではBCL6の発現は弱く、Pro B細胞株においては、BCL6の強制発現によりアポトーシスに陥った。以上の結果から、BCL6はB細胞の初期分化を制御していることが示唆された。 2.転写因子c-fosによる血球分化の制御 1)c-fosによる血球分化の制御: 誘導型c-fosトランスジェニックマウスを用いた実験からc-fosは骨髄前駆細胞から顆粒球系と単球系への分化の振り分けと単球系前駆細胞から破骨細胞と樹状細胞への分化の振り分けに関与していることを示した。 2)c-fosによるマクロファージの機能制御: c-fosがマクロファージのNF-IL-6の機能を阻害することによりNitric oxide産生を阻害することを示した。また、MHC class IIの発現もc-fosが制御していることを証明した。
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