研究課題/領域番号 |
13671055
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 由基男 山梨大学, 医学部, 教授 (30134539)
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研究分担者 |
佐藤 金夫 山梨大学, 医学部, 教務職員 (20242662)
浅妻 直樹 山梨大学, 医学部, 助手 (60293445)
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キーワード | 血小板 / フィブリノゲン / GPIIb / IIIa / GPRペプチド / 血小板疑集 / プラズモン共鳴 |
研究概要 |
我々はコラーゲン由来のペプチドによるコラーゲン惹起血小板凝集の抑制を評価する際GPRシークエンスを含む9アミノ酸ペプチドにコラーゲンのみならず、ほぼすべての血小板惹起剤による血小板凝集抑制作用があることを発見した。このペプチドはフィブリノーゲンのフィブリノペプチドA断端近傍の構造に類似するが、フィブリノーゲンには結合しない。いくつかのデータより、このペプチドはGPIIb/IIIaに作用することが示唆されるが、RGDと異なりpartial agonist作用を有しない。このペプチドがGPIIb/IIIaと反応することを証明するためConAカラムを用いて血小板より、GPIIb/IIIaを分離し、GPIIb/IIIaを表面プラズモン共鳴測定用チップに固定後、フィブリノーゲンを流し、GPIIb/IIIaとの結合定数を測定する系を作成した。そしてこの系におけるペプチドの阻害効果を評価したが、このペプチドの阻害効果は、認められなかった。一方、ビオチン化ペプチドを作成し、表面プラズモン共鳴測定用チップに固定後、単離したGPIIb/IIIaまたリポソームに埋め込んだGPIIb/IIIaを流し、ペプチドとGPIIb/IIIaの結合を判定すると、軽度ではあるが結合が認められた。この矛盾する実験結果の原因として単離したGPIIb/IIIaに何らかの変化が起き、nativeなGPIIb/IIIaとは異なるものになっている可能性がある。そこでCHO細胞にGPIIb/IIIaをtransfectし、フィブリノーゲンとの結合を評価できる系を作成した。この系でGPRシークェンスを含むペプチドの結合、フィブリノーゲンの結合抑制をみたところ、いずれも有意な効果は認められなかった。これらのことから、今回検討したGPRシークェンスを含むペプチドは当初予想されたようにGPIIb/IIIaとフィブリノーゲンとの結合を抑制するものでない可能性が示唆された。
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