研究課題/領域番号 |
13671058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
直江 知樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50217634)
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研究分担者 |
伊藤 守 実験動物中央研究所, 室長(研究職) (00176364)
清井 仁 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90314004)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | FLT3 / 白血病 / トランスジェニックマウス / 分子標的療法 |
研究概要 |
今日悪性腫瘍細胞における遺伝子変異と病態解明が飛躍的に進歩し、その腫瘍化や進展・維持に関与する分子を標的とした新たな治療法の開発が注目されている。白血病においては、急性前骨髄性白血病におけるレチノイン酸やBCR/ABL転座を持つALLや慢性骨髄性白血病に対するImatinibが画期的な治療効果をもたらすことは周知の通りである。FLT3遺伝子変異は成人AMLの約3割に認められる予後不良因子であることから、変異FLT3を分子標的とした治療法の開発は、多くの難治性白血病患者に福音をもたらすことは間違いない。しかし、変異FLT3遺伝子のもたらす生体内での作用機序およびFLT3特異的阻害剤の評価においては、変異FLT3遺伝子導入による白血病モデルマウスの樹立が必要である。本研究においては、変異FLT3導入トランスジェニックマウスと血液幹細胞への変異FLT3遺伝子導入骨髄移植モデルマウスの作製を試みた。 変異FLT3遺伝子をSR-α、β-actin、cathepsin-Gの3種類のプロモーター下流に組み込みトランスジェニックマウスの作製を試みた。SR-αプロモーターによる変異FLT3遺伝子導入は、遺伝子発現マウスを誕生させることが可能であったが、生殖器細胞における高発現のために正常生殖機能が障害され、継代可能な系統を樹立することができなかった。一方、β-actin、cathepsin-Gプロモーター下での発現においては、変異FLT3遺伝子発現マウス系統が樹立可能であった。これらの系統においては、変異FLT3 mRNAの発現は継代維持されるものの充分な蛋白発現が得られなかった。しかし、一部の系統においては、著明な肝脾腫を伴うCLL様の病態を発症した。血液幹細胞への変異FLT3導入移植モデルマウスにおいては、骨髄増殖性疾患の発症が報告されているものの、本来臨床的には特異的に認めるAMLの発症を認めていない。したがって、変異FLT3遺伝子発現量の調節と発現させる血球細胞lineageを厳密に管理した上での発現がAMLモデルマウスの作製には重要と考えられる。
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