研究概要 |
急性白血病細胞のゲノム発現様式を網羅的に解析することにより、急性白血病の病態を解明する手掛かりを得る目的で以下のことを行った。 【対象ならびに方法】急性骨髄性白血病20症例について異なる2142個のunselected genesを二重にプリントしたcDNA microarrayを用いて、gene expression profilingを試みた。Probe作製方法については1μgのtotal RNAからSMART法とT7 promotor/T7 RNA polymerace法を用いてmRNAを増幅したのち、逆転写酵素でcDNAを合成する際にCy3/Cy5で標識した。Control RNAは6種類の血液細胞株(K562,HL60,NB4,BV173,KBM7,Jurkat)より抽出したtotal RNAを等量混合したものを用いた。ProbeをcDNA microarrayにhybridization後洗浄し、GeneTAC LSIVにてscanし、Array Visionにて数値化し、Gene Springにて解析した。 【結果】急性前骨髄性白血病(FAB-M3)では、他の病型と比較しMHC class II関連遺伝子の発現低下ならびにmyeloperoxidaseの発現上昇が観察された。この結果は従来から報告されているFAB-M3でのHLA-DR(Ia抗原)発現低下およびmyeloperoxidase染色の強陽性所見と合致していた。さらに、現在大型コンピュータにて解析を進めており、同時に論文を作成中である。 また、急性リンパ性白血病についてもPhiladelphia染色体の有無別で同様の手法を用いて解析を進めている。
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