研究課題/領域番号 |
13671064
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
織谷 健司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70324762)
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研究分担者 |
岡島 裕 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
吉田 均 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
冨山 佳昭 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80252667)
小川 愛 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
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キーワード | limitin / adiponectin / jak / stat / Tyk2 / Daxx / cyclooxigenase-2 / prostaglandin |
研究概要 |
本研究では、limitinとadiponectinの生体内分布の解析と生理作用を発揮するために重要なシグナル経路の解析を行った。 免疫組織染色にて生体内におけるlimitinとadiponectin の産生細胞について解析した。limitin血蛋白の発現は、脾臓(Periaortic lymphoid sheath)・胸腺(胸腺髄質)・肺(Duct細胞)・唾液腺(Duct細胞)で認められた。特に、脾臓や胸腺中のlimitin産生細胞は、CD3陽性細胞の成熟Tリンパ球であった。adiponectinの産生は、骨髄中でも脂肪細胞のみに認められた。 limitinが受容体に結合すると、Jak1,Tyk2,Stat1などのJak-Statシグナル分子のリン酸化が誘導された。limitinによるBリンパ球前駆細胞の増殖抑制は、Daxx蛋白の発現および細胞内分布変化が関与していた。また、limitinによるこれらの現象はTyk2ノックアウトマウスの骨髄細胞では認められず、Tyk2の下流にDaxxが存在することが明らかになった。limitinは、巨核球コロニー形成をも抑制した。limitinの巨核球コロニー形成抑制作用もまたTyk2ノックアウトマウスの骨髄細胞では認められず、limitinの正常造血前駆細胞増殖抑制にはTyk2→Daxxのシグナル経路が重要であることが示唆された。adiponectinは、ストローマ細胞が存在するときのみBリンパ球の産生を抑制した。その作用機序として、adiponectinはストローマ細胞に対しCyclooxigenase(COX)-2の発現を誘導しprostaglandin産生(Bリンパ球前駆細胞の増殖抑制)を増強することが明らかになった。さらに申請者らは、脂肪細胞で産生されるadiponection自身が脂肪細胞の最終分化を制御する事実を見出した。このadiponectinによる脂肪細胞分化制御もまたCOX-2阻害剤であるDup-697によりほぼ完全に回避され、adiponectinの作用機序の1つとしてCOX-2→prostaglandinの関与が示唆された。
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