研究概要 |
1.骨病変を画像所見上2箇所以上有する患者は1箇所以下の例に比して骨髄腫細胞からのMIP-1α(2417±822 vs 14±7 pg/ml, Means±SE, p<0.01)およびβ(1462±845 vs 24±13pg/ml, Means±SE, p<0.01)の産生が何れも亢進していた。骨髄腫細胞からのMIP-1産生能と骨吸収マーカーの尿中C-telopeptide、尿中デオキシピリジノリン値との間には有意な正の相関を認めた。 2.MIP-1α、β産生骨髄腫細胞を家兎骨髄細胞と共培養すると破骨細胞の形成・機能が著明に促進した。この促進活性は抗MIP-1αおよびβ抗体の同時添加で大部分が抑制されたことよりMIP-1αおよびβは骨髄腫細胞による骨吸収亢進の主たる原因因子であると考えられた。骨髄腫細胞および間質細胞上にはMIP-1受容体であるCCR5が発現しており、MIP-1α、βは低濃度のV.D3の存在下で間質細胞に破骨細胞分化因子(RANKL/ODF)mRNAの発現を誘導した。また、MIP-1α、βにより骨髄腫細胞上のVLA-4が活性化されており、骨髄腫細胞のVCAM-1を介した間質細胞との接着を促進することにより破骨細胞形成が亢進することが示された。 3.SCIDマウスにMIP-1産生骨髄腫細胞株であるARH77細胞を左心腔内投与し、骨髄腫マウスモデルを作成した。今後、この動物モデルを用いてMIP-1阻害などによる治療法の開発を検討する。
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