研究課題/領域番号 |
13671076
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
永井 正 自治医科大学, 医学部, 助手 (40237483)
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研究分担者 |
大嶺 謙 自治医科大学, 医学部, 助手 (90316521)
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キーワード | 慢性骨髄性白血病 / STI571 / ascorbic acid / Nrf2 / 薬剤耐性 / γ-GCS / KCL22 / SR |
研究概要 |
ヒト慢性骨髄性白血病由来細胞株KCL22を親株として、ABLチロシンキナーゼ阻害剤STI571に対する耐性細胞株KLC22/SRを樹立した。既に報告されている他の耐性株と異なり、KCL22/SRではBCR/ABL遺伝子の増幅および点変異、BCR/ABL蛋白およびP糖蛋白の発現増加のいずれも認めなかった。また、KCL22/SRにSTI571を加えた場合も、リン酸化BCR/ABL量の著明な抑制が認められたことから、BCR/ABL signalingとは無関係の機序による耐性獲得が示唆された。薬剤代謝関連酵素群の発現に重要なNrf2転写因子に着目して検討した結果、KCL22/SRでは、1)Nrf2の核への移行が増加しており、その結果Nrf2 DNA結合活性の増加が認められた、2)Nrf2により発現が調節されているγ-glutamylcysteine synthetase(γ-GCS)の発現増強が認められ、結果として細胞内グルタチオン量の増加を認めた。Nrf2は酸化ストレスにより核へ移行することから、還元剤であるAscorbic Acid(AA)の影響について検討したところ、3)0.125mMのAAの添加によりNrf2の核への移行が阻害され、同時にγ-GCSのmRNA量およびグルタチオン量の低下が認められた、4)この場合KCL22/SRのSTI571に対する感受性の部分的な回復を認めたことから、AAによる耐性克服の可能性が示された。また、DNAマイクロアレイ法によりKCL22/SRとKCL22との間での発現遺伝子の差異について検討したところ、KCL22/SRでは、1)RASAP1、RhoAおよびL6抗原が高発現しており、2)c-mybおよびactivin A receptorの発現が低下していることが明らかとなった。
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