研究課題/領域番号 |
13671076
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
永井 正 自治医科大学, 医学部, 講師 (40237483)
|
研究分担者 |
大嶺 謙 自治医科大学, 医学部, 助手 (90316521)
|
キーワード | 慢性骨髄性白血病 / 薬剤耐性 / imatinib / Farnesyltransferase阻害剤 / RAS / KCL22 / SR / K562 / SR / KU812 / SR |
研究概要 |
BCR/ABLキナーゼ阻害剤imatinibは慢性骨髄性白血病(CML)に対して優れた効果を示すが、耐性獲得が臨床上重要な問題となっている。本研究では、imatinib(STI571)耐性株を用いて耐性機序の解析および耐性克服法について検討を進めた。 1、ヒトCML由来細胞株KCL22、K562およびKU812SRを親株としてimatinib耐性株KCL22/SR、K562/SRおよびKU812/SRをクローン化した。いずれの耐性株でもimatinibによりBCR/ABLのリン酸化が抑えられたことから、BCR/ABLの下流に存在する経路の異常がimatinib耐性獲得に関与しているものと推察された。 2、実際KCL22/SRおよびK562/SRはimatinib添加後もリン酸化ERK1/2量の低下を認めなかったことから、BCR/ABL活性に依存しないRAS-MAPK系の活性化が存在するものと推察された。一方、KU812/SRは親株と同様にimatinib添加によるリン酸化ERK1/2量の低下を認めた。 3、imatinibとRAS阻害作用を有するFarnesyltransferase阻害剤R115777とを同時にKCL22/SRおよびK562/SRに添加すると、リン酸化ERK1/2量の低下を認め、かつ相乗的に細胞増殖が抑制された。この場合、apoptosisの誘導が観察された。一方、KU812/SRに対しては相加的に作用するのみであった。さらに、MEK1/2阻害剤UO126とimatinibとの同時添加によっても同様の結果が得られた。従って、BCR/ABL非依存性のRAS-MAPK活性が認められるimatinib耐性細胞ではRAS-MAPK阻害剤による耐性の克服が可能であると思われた。
|