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2001 年度 実績報告書

白血球エラスターゼによる血栓溶解・特にその制御機作の分子生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 13671077
研究機関自治医科大学

研究代表者

坂田 洋一  自治医科大学, 医学部, 教授 (40129028)

研究分担者 窓岩 清治  自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119)
三室 淳  自治医科大学, 医学部, 講師 (10221607)
キーワードプラスミノゲン / プラスミン / 白血球エラスターゼ / フィブリノゲン分解産物
研究概要

血栓溶解には、プラスミノゲンアクチベータープラスミンを介する酵素反応が主たる役割を果たす。しかし、プラスミノゲン(PG)の先天性欠損患者に血栓症は殆どみられない。これらの患者では、血中の白血球由来エラスターゼ(LE)活性の高値が見られ、精製PGを輸注することによりそのレベルが低下する。このことは、プラスミン系とEL系の間にクロストークが存在することを示唆する。そこで、まず、ELがプラスミン系に及ぼす影響について検討した。1)単球系細胞株であるU-937,THP-1細胞およびHUVECsをELで刺激後、これらの細胞表面上へのPG結合能の変化を125Iodine標識PGを用いたリガンドブロッティング法により解析した。U-937およびTHP-1細胞膜分画には、EL刺激によってPG結合能を有する複数の膜蛋白(SDS-PAGE上分子量約20,27.5,30,35Kd)が時間依存性に発現していた。2)THP-1細胞へのPGの結合活性のEL刺激による変化を、Alexa488蛍光標識Glu-PGおよびその分画(ミニPG、クリングル1+2+3)を用いて、FACSにより検討した。刺激により、細胞表面上のPGの結合活性が増加すること、増加はPG分子のクリングル5および活性ドメインに依存することが明らかになった。この結合様式は、これまでに報告されている結合形態とは異なる新規のものであることが示唆された。処理により、膜表面に発現するレセプタはPG減少時に膜表面でのプラスミンを介する組織線溶を効率よく進行させるための機構と解釈される。現在、新しいレセプタの本体を明らかにする仕事を進めている。次いでプラスミン系がEL産生に与える影響を検討した。PGとその派生物質、或いは、プラスミンによるフィブリノゲン分解産物が、ELのプロモーター活性に与える影響を解析した。EL遺伝子プロモータ領域(-1282-+1)をクローニングし、5'側を順次削除したdeletion mutantsを作製した。これらのcDNAsをルシフェラーゼレポータープラスミドベクターに組み込み、THP-1細胞および3T3細胞にtransformationし、刺激物質を加えることで、一過性発現によるプロモーター活性を検討した。結果、PGは、生理的濃度(1mM)においてELプロモーター活性を約30%まで低下させた。更に-1045から-1121の領域にはフィブリノゲン分解物に濃度依存性(0-1mM)に直接的あるいは間接的な影響を受ける部位が存在することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] Madoiwa, S.: "An Auto antibody against Prothrombin aberrantly alters the Proenzyme to facilitate Formation of a Complex with its Physiological Inhibitor Antithrombin III without Thrombin Conversion"Blood. 97. 3783-3789 (2001)

  • [文献書誌] Mimuro, J.: "Recombinant Adeno-Associated Virus Vector-Transduced Vascular Endothelial Cells Express The Thrombomodulin Transgene Under The Regulation of Enhanced Plasminogen Activator Inhibitor-1 Promoter"Gene Therapy. 8. 1690-1697 (2001)

  • [文献書誌] Watanabe T.: "Effect of Heparin on activated partial thromboplastin time in patients undergoing gynecologic or obstetric Surgery Gynecol Obstet Invest"Gynecol Obstet Invest.. 51. 178-183 (2001)

  • [文献書誌] Watanabe T.: "Effect of labor on maternal dehydration, starvation, coagulation, and fibrinolysis"J. Perinat. Med. 29. 528-534 (2001)

  • [文献書誌] Hamano A.: "A novel monoclonal antibody to fibrin monomer and soluble fibrin for the detction of soluble fibrin in plasma"Cin. Chim Acta. (in press).

  • [文献書誌] Imura O.: "Effect of ureteral obstruction on gelatinase A in rat renal cortex"Exp. Nephrologgy. (in press).

  • [文献書誌] Kaminishi Y.: "Modified bentall operation in a patiet with hemophilia A"Ann Thorac Cardiovasc. Surg. (in press).

  • [文献書誌] 坂田洋一: "慢性透析患者に見られる高ホモシステイン血症の治療"日本透析会誌. 34. 243-248 (2001)

  • [文献書誌] 三室淳: "血友病の遺伝子治療ANNUAL REVIEW血液"中外医学社. 207-214 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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