研究課題/領域番号 |
13671078
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
窓岩 清治 自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119)
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研究分担者 |
坂田 洋一 自治医科大学, 医学部, 教授 (40129028)
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 助手 (20311938)
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キーワード | 血友病 / 血液凝固第VIII因子 / 遺伝子治療 / SIVウイルスベクター / 肝細胞 / 造血幹細胞 / 脂肪細胞 / NOD / SCIDマウス |
研究概要 |
SIVベクターを用いて血液凝固第VIII因子(FVIII)を発現させるコンストラクトを構築し、標的細胞への導入効率、発現効率の検討を行い以下の成績を得た。 1)プロモーターの選択:SIVウイルスベクターに組み込むプロモーターを、FVIIIcDNAからB領域をコードする部分を除いたBDD型第VIII因子(BDD-FVIII)cDNAをプラスミドベクターに組み込み、産生されるBDD-FVIII抗原量を指標に検討し、PGK1プロモーターとEF1-αプロモーターにおいて良好な発現量を得た。またSIVウイルスベクターにBDD-FVIIIコンストラクトを搭載し、遺伝子治療の標的細胞として想定される血管内皮、肝、筋細胞、およびCD34陽性細胞での発現を検討したところ、CD34陽性細胞においてEF1-αプロモーターがCMVプロモーターと同等の発現を示した。 2)NOD/SCIDマウスを用いた検討:CD34陽性細胞にGFPまたはFVIIIを搭載したSIVベクターをtransfection後、放射線照射を加えたNOD/SCIDマウスに細胞移植を行い、骨髄への生着率と末梢血中のヒトFVIII抗原量を測定した。GFP搭載SIVベクターでtransductionを検討し、MOI1で48時問の感染時間では約50%の細胞がGFP陽性となった。FVIII搭載SIVベクターを遺伝子導入したCD34陽性細胞は、10(6)個・24時間あたり約10microgのFVIIIを産生し、遺伝子治療に対し充分な量であると考えられた。FVIII搭載SIVウイルスベクターを遺伝子導入したCD34場性細胞のマウス細胞移植モデルでは、移植12週間後の骨髄中にヒトCD45,CD34陽性細胞の3-10%の生着を確認し、蛍光免疫染色法にてFVIII産生細胞を同定できた。同時にヒトCD41細胞をヒトFVIII抗体を用いて検討し、FVIIIが血小板内に蓄積されていることも確認できた。 3)肝細胞、筋細胞、皮膚細胞、脂肪細胞への遺伝子導入の検討:10(8)単位のSIVベクターをマウスに経腸管膜静脈的に投与し、肝組織での発現を検討した。肝細胞にGFPの発現がみられたが、Kupper細胞などの網内系細胞優位にGFPが発現していた。また10(8)単位のVIII因子搭載SIVベクターを筋組織、脂肪組織および皮膚組織へ投与し、脂肪細胞にFVIIIの発現を確認することができた。
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