研究課題/領域番号 |
13671082
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
大月 哲也 自治医科大学, 医学部, 講師 (60275691)
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研究分担者 |
永嶋 貴博 自治医科大学, 医学部, 助手
上井 雅哉 自治医科大学, 医学部, 助手 (80326826)
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キーワード | Fanconi貧血 / IKK2 / アポトーシス / NF-кB / 骨髄低形成 |
研究概要 |
再生不良性貧血などの骨髄低形成をきたす疾患について、その骨髄低形成を発症する分子病態については不明な点が多いのが現状である。骨髄低形成をきたす疾患の中でも、Fanconi貧血は近年その原因遺伝子が続々とクローニングされており、その遺伝子産物の機能解析を行うことにより分子病態が解明されることが期待される。そのうちの一つであるFANCA遺伝子産物をbaitとしたyeast two-hybrid法により、FANCA蛋白質と結合するものとしてIKK-2がクローニングされた。IKK-2の細胞内における機能は以下の通りである。TNF-αは細胞にアポトーシスを誘導するシグナルを伝えるが、同時にNF-кBの活性化を通じてanti-apoptoticなシグナルも伝える。IKK-2は、NF-кBの活性化に必須である巨大複合体分子:IKK signalsomeの重要な構成因子の一つである。我々の研究結果から、FANCA蛋自もIKK signal someのcomponentの一つであることがわかった。今後はFANCA遺伝子産物のIKK signalsome内における機能を明らかにする予定であるが、FANCA遺伝子産物がIKK-2とのinteractionによりIKK signalsomeの活性を上昇させ、細胞をanti-apoptoticな状態にすることに寄与していると仮定すると、Fanconi貧血細胞におけるアポトーシス誘導に対する高感受性を分子レベルで説明できることになり、Fanconi貧血の分子病態の解明に大いに貢献するものと思われる。また、他の骨髄低形成をきたす疾患でもNF-кBの活性化に異常がある可能性を示唆するものである。
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