研究課題/領域番号 |
13671083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
木崎 昌弘 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20161432)
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研究分担者 |
金城 謙太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90317115)
宮川 義隆 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50250238)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | ヒ素化合物 / サイトカイン / 白血病 / GM-CSF / アポトーシス / BMP / 骨髄腫 / 分化 |
研究概要 |
われわれは本研究においてヒ素化合物はGM-CSFを併用することにより骨髄性白血病細胞をin vitroにおいて成熟顆粒球に分化誘導することを見出した。本研究の最終目的はGM-CSFとヒ素化合物の併用による白血病細胞の分化誘導療法の臨床応用にあり、まずin vivoにおけるGM-CSFとヒ素化合物の併用効果について検討した。3Gyの全身照射したNOD/SCIDマウスにレチノイン酸耐性APL細胞株UF-1を移植したマウスモデルにヒ素化合物(As_2O_3)10μg/kgを皮下注したところ、PBSを投与したコントロール群に比し腫瘍重量は減少した。投与7日目に解剖したところ腫瘍中の白血病細胞はアポトーシスに陥っていた。これに対し、ヒトGM-CSF産生トランスジェニックSCIDマウスを用いたマウスモデルは血清中のGM-CSFの濃度が10-100ng/ml認められ、in vitroにおけるGM-CSFとヒ素化合物の併用モデルに相当すると考えられた。3Gyの全身照射したヒトGM-CSF産生トランスジェニックSCIDマウスにUF-1細胞を移植したモデルでは、UF-1細胞移植後30-40日で約1cm^3の腫瘍を形成した。その後7日間薬剤で処理したところ、コントロール群(PBS,ATRA)では4-5倍に腫瘍は増大し、解剖の結果腫瘍はUF-1細胞で充満していた。これに対してAs_2O_3投与群では腫瘍重量は1/2となり、組織学的には成熟顆粒球に分化しており、UF-1細胞がin vivoにおいても成熟顆粒球に分化したことが明らかになった。したがって、in vivoにおいてもGM-CSFとヒ素化合物の併用により白血病細胞の分化誘導は可能であり、今後の臨床応用の可能性が示唆された。さらに他の造血因子、特にTGF-βファミリーに属する骨形成因子(BMP)およびアクチビンAの造血器腫瘍細胞への影響についても検討した。BMPはSTAT3のリン酸化を抑制することにより、Bcl-X_Lの転写を抑制し、骨髄腫細胞のアポトーシスを誘導した。また、アクチビンAはMcl-1の一過性誘導によりBAXを誘導し、慢性骨髄性白血病(CML)細胞のアポトーシスを誘導した。したがって、造血因子により造血器腫瘍細胞のアポトーシス誘導が可能であり、今後詳細な機構の解明と臨床応用を目指した研究を推進したいと考えている。
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