研究概要 |
【目的】本研究ではテロメア、テロメラーゼ分子を介在した造血器腫瘍の新しい分子標的療法を開発し、臨床的に効果のある分子標的療法の開発と臨年応用、その安全性の確立を目指す。【結果】G-quaduplex作用テロメラーゼ特異的阻害剤であるテロメスタチンを用いてPh陽性白血病細胞株、OM9;22及びK562細胞株の抗腫瘍効果について検討した。OM9;22及びK562細胞株ではテロメスタチン2μM、48時間培養にてテロメラーゼ活性の著しい低下が認められ、テロメア長の短縮に引き続きアポトーシス誘導が確認された。テロメスタチン処理後のOM9;22細胞株をQ-Fish法にて解析したところ、テロメア長の短縮及び染色体融合が確認され、さらにテロメスタチン処理後アポトーシス誘導前のK562細胞株においてimatinib、DNR、VCR、MIT感受性の増加が確認された。細胞周期解析を行ったところ、テロメスタチン処理によりG1 arrestが認められ、DN-hTERT遺伝子導入細胞株と同様にp21Cip1,p27Kip1の発現の増加、及びATM、 Chk2、p38MAP kinaseのリン酸化が確認された。さらにp38MAP kinase阻害剤、SB203580添加にてテロメスタチンによるアポトーシス誘導が抑制されたことから、テロメア維持機構の破壊によるアポトーシス誘導にp38MAP kinaseが関与していると考えられる。【考案】テロメラーゼ阻害分子によるテロメア維持機構の破壊により、抗癌剤感受性の増加及びアポトーシス誘導が確認された。テロメア維持機構の破壊による細胞増殖抑制にATM pathwayが関与していることが確認された。
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