研究概要 |
PPARγがアポトーシス抑制のみならず、尿細管上皮細胞の再生、再構築に関連する情報伝達系に関与することに基づいて、我々はPPARγ活性化剤が何らかの腎保護作用があるのではないかと考え、各種腎疾患モデルに対するPPARγ活性化剤の作用を検討した。 WKYラットより常法に従いsieving法により糸球体を得て家兎に免疫し、抗基底膜抗体を得た。血清を非働化し、ラット赤血球にて吸着しNTS(Nephrotoxic Serum)として用いた。WKYラットをコントロール群、トログリタゾン投与群、ピオグリタゾン投与群,ビタミンE投与群に分ける。各群をNTS投与後1日、3日、5日、10日、20日、30日にて代謝ケージに収容し 1:抗糸球体基底膜抗体を用いた実験腎炎モデルにおいて、尿量には有意の差を認めなかったがPPARγ活性化剤は蛋白尿の著明な抑制作用を有した。その作用はきわめて強くFK605、cyclosporine Aに匹敵するものであった 2:パラフィン切片を用いてHE染色で半月体形成率と半月体指数を、MT染色にてボウマン嚢の破綻の有無を検討したところ著明な半月体の形成抑制能を認めしかもこれらの投与濃度は25mg/Kg体重であり通常の薬剤使用濃度に近いものであった。Tunnel法にてアポトシス細胞の検出は検討中である。 3:OCT compoundにて包埋して凍結切片を作成し抗CD45抗体にて全白血球、抗CD4抗体にてCD4陽性細胞、抗CD8抗体にてCD8陽性細胞、抗IL2R抗体にてIL2R陽性細胞、抗ED1抗体にてマクロファージ数を測定した。著明なマクロファージの浸潤抑制を認めた。
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