研究課題/領域番号 |
13671107
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
藤垣 嘉秀 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20283351)
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研究分担者 |
菱田 明 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70111812)
米村 克彦 浜松医科大学, 医学部付属病院, 助教授 (40252176)
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キーワード | 急性腎不全 / ミオフィブロブラスト / α平滑筋アクチン / マクロファージ / 細胞性フィブロネクチン / ミコフェノール酸モフュチル / 酢酸ウラニウム |
研究概要 |
1.酢酸ウラニウム誘発急性腎不全における一過性の間質ミオフィブロブラストおよびマクロファージ浸潤は、mycophenolate mofetil投与によるこれら間質細胞浸潤の抑制実験にて、さらなる腎機能の憎悪と尿細管再生の減少を認めたことにより、急性腎不全の尿細管細胞回復に関与する重要因子であることが明かとなった。 2.一過性に出現する間質ミオフィブロブラストは、傷害尿細管の形態保持、細胞性フィブロネクチン分泌による細胞回復へのシグナル伝達、増殖促進に関与するサイトカイン産生による細胞回復促進などの作用が考えられた。同モデルでの間質ミオフィブロブラストは、フィブロブラスト様細胞が一過性にα平滑筋アクチン形質を獲得したものであり、この機序に傷害尿細管基底膜の機械的伸張の関与が示唆された。これらの刺激を伝達する経路として細胞外気質とそのリガンドやTGF-βシグナル伝達経路が考えられ、α平滑筋アクチン形質発現制御の解明につながることが期待される。 3.浸潤マクロファージは細胞回復期では増殖促進に関与するサイトカインの供給や傷害尿細管細胞貪食処理、傷害尿細管から進入する異物からの防御に関与する可能性が示唆された。 4.同モデルでの間質ミオフィブロブラストおよびマクロファージの役割は、いづれも細胞回復促進に関与し、創傷治癒に類似の役割を有している可能性がある。これまで腎疾患においてこれら間質細胞は間質線維化の進展に関与する細胞性因子として捉えられてきたが、新たな観点からこれら間質細胞の役割を再検討することにより、組織修復と線維化の調節機構の解明にも役立つと考えられる。
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