研究課題/領域番号 |
13671110
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70190410)
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研究分担者 |
佐藤 和一 名古屋大学, 医学部・附属病院, 医員
湯澤 由紀夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00191479)
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キーワード | 尿細管間質障害 / 進行性腎障害 / 腎繊維化 / 糖尿病性腎症 / ケモカイン / toll-like receptors(TLRs) / 遺伝子治療 / connective tissue growth factor(CTGF) |
研究概要 |
近位尿細管細胞の炎症や線維化を惹起する細胞としての性格を一層明らかにするために、様々な刺激時での近位尿細管細胞の変貌を詳細に研究を行った。その結果、以下のような点が明かとなった。(1)マウス近位尿細管細胞は補体活性化因子としても知られているLPS刺激により、マクロファージ遊走を惹起するケモカインであるMCP-1(macrophage chemoattracting protein-1)、または好中球遊走に働くとされるRANTESの産生を増加させる。この現象はTLR4(Toll-like receptor4)を介して起こる。(2)LPS刺激時の近位尿細管細胞におけるTLR4を介したMCP-1とRANTESの産生については、各々の細胞内シグナル伝達機構は異なっており、MCP-1はJNKもしくはNF-κBに依存性であるし、RANTESに関してはp38が重要であることが明かとなった。(3)In vivoにおいて、虚血再灌流モデルあるいはprotein oveload nephropathyモデルを作成して間質障害を惹起したラットまたはマウスにおいて、遺伝子導入による近位尿細管細胞あるいは腎間質線維芽細胞の機能を抑制することにより、有意に腎障害(間質障害)を軽減できることが証明された。 これらの結果は、腎障害における間質障害の重要性を裏付けるとともに、近位尿細管細胞における様々な刺激に対する反応の詳細が明らかにされ、それらの情報に基づいた治療戦略の構築に重要な示唆を与えることを示している。
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