研究課題/領域番号 |
13671111
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
湯澤 由紀夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00191479)
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研究分担者 |
門松 健治 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80204519)
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70190410)
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キーワード | ミッドカイン / 尿細管間質障害 / 糸球体腎炎 / アンチセンス療法 / ノックアウトマウス / 凝固・線溶 / Th1 / Th2 |
研究概要 |
腎の虚血最還流モデルでの尿細管間質障害及び加速型馬杉腎炎モデルでの増殖性糸球体腎炎におけるミッドカインの関与に関する研究の進捗状況 「虚血再還流モデル」:平成14年度は、腎の虚血再還流モデルでの尿細管間質障害におけるMKアンチセンス療法の有効性について中心に検討した。MKアンチセンス療法は、予防的投与のみならず、尿細管・間質障害発症後に投与しても、有効性が確認された。この結果、尿細管間質障害の治療戦略として、抗MK療法の臨床応用が強く期待される。現在論文を投稿中である。 「シスプラチン腎症モデル」:虚血再還流障害の場合、尿細管での明かなMKの発現の増強が見られたが、シスプラチン腎症では、薬剤投与後、MKの一過性の発現減少が見られた。しかし、尿細管・間質障害の程度、炎症細胞浸潤、アポトーシス誘導、さらに死亡率において、野生型のほうがMKノックアウトマウスに比べて有意に程度が重いことを確認した。以上の尿細管間質障害の2つのモデルから、尿細管においてはMKは組織障害性に作用していることが確認された。 「加速型馬杉腎炎モデル」:一方、加速型馬杉腎炎でみられる糸球体腎炎においては、野生型ではsubnephritogenicな条件下で、MKノックアウトマウスでは血栓形成・半月体形成を中心とした著しい糸球体障害が見られた。その原因として、毛細血管内ではMKはPAI-1発現を抑制し、その結果抗炎症性に働くことが考えられ、MKの持つ炎症細胞への走化性とのバランスで腎炎の進行がコントロールされていること、さらに、MKは、Th1/Th2 balanceに関わるサイトカイン発現に直接関与し、尿細管・間質とは逆に組織保護性に作用することが考えられる。
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