研究概要 |
ヒトのアルポート症候群のモデル動物であるIV型コラーゲンα3鎖ノックアウトマウスを用いて、下記の研究を行っている。 1)糸球体の初期病変の解析:生後直後の糸球体を、形態学的に観察し、すでに生後1,2週齢で、糸球体基底膜に特徴的な変化が生じることを明らかにした。また、ノックアウトマウスのこれらの糸球体をLaser Capture Microscopeで取り出し、野性型の糸球体とのRNA発現の違いをmicroarray法で比較している。これらの解析の結果、ノックアウトマウスの生後2〜3週間においてある炎症惹起サイトカインが強く発現していることを、RNAレベルや免疫組織学的レベルで証明した。 2)治療モデルの開発:その炎症惹起サイトカインを抑制すべく、薬剤を皮下投与して、ノックアウトマウスを治療してみたところ、糸球体の炎症惹起サイトカインの発現を低下させるとともに、組織学的に糸球体硬化を軽減し、予後が改善することも証明された。現在は、どの時期からの治療がより効果的かを検討している。 また、ヒトの組織において、より正確にアルポート症候群の診断が可能となるように、免疫組織学的解析の精度を向上させるべく努めている。
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