研究課題/領域番号 |
13671116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
四方 賢一 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00243452)
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研究分担者 |
和田 淳 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30294408)
槇野 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50165685)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 糖尿病性腎症 / マクロファージ / TGF-β / 炎症 / 糸球体 / 間質 / スカベンジャーレセプター / ノックアウトマウス |
研究概要 |
糖尿病性腎症はわが国における末期腎不全の原因疾患の第一位を占め、現在も増加を続けている。糖尿病性腎症の発症機構を明らかにして新しい治療法を開発することは、糖尿病患者の生命予後を改善し、末期腎不全患者の増加を阻止するための重要な課題である。 糖尿病性腎症患者の腎組織には糸球体と間質にマクロファージの浸潤が認められることから、腎症の成因にマクロファージを中心とした炎症メカニズムが関与することが示唆される。我々は、これまでに、糖尿病性腎症におけるマクロファージの浸潤はICAM-1によって誘導されていることを明らかにした。本研究では、糖尿病性腎症の成因におけるマクロファージの役割を解明する目的で、ICAM-1ノックアウトマウス(ICAM-1 KOマウス)とmacrophage scavenger receptor-Aノックアウトマウス(SR-A KOマウス)を用いた。両マウスとwild typeマウスにstreptozotocinを投与して糖尿病を惹起し、6ヶ月間観察し腎組織を採取した。ICAM-1 KOマウスでは、wild typeマウスに比べて、糖尿病発症後の腎臓へのマクロファージの浸潤が抑制されるとともに、アルブミン尿、糸球体でのTGF-βの発現、メサンギウム基質の増加と間質の線維化が抑制された。この結果から、糖尿病性腎症の成因にマクロファージが重要な役割を果たすことが証明された。 一方、SR-A KOマウスにおいてもICAM-1 KOマウスの場合と同様に、腎組織へのマクロファージの浸潤が減少するとともに腎障害の進展が抑制された。このことから、SR-Aは糖尿病状態における腎組織へのマクロファージの浸潤に関与していることが明らかとなった。 さらに両実験系において、DNAマイクロアレイを用いて腎組織における遺伝子発現プロファイルを比較した。その結果、wild typeマウスの腎臓で、糖尿病発症後に増加する炎症関連遺伝子群を同定した。次に、これらの炎症関連遺伝子群の中で、ICAM-1 KOマウスではwild typeマウスと比較して発現が抑制される遺伝子群を同定した。これらの分子は、糖尿病性腎症の発症と進展に関与している可能性がある。
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