研究概要 |
まず、ラットの腎臓から髄質外層集合尿細管(OMCD)を採取し、AVPと共にincubationすることで、V2受容体mRNAが非存在下の約3倍に増加することを確認した。V1a, V2受容体mRNA発現量の定量的な測定のために、RT-competitive PCRを用いたが、そのためのDNA competitorは、primerに合わせて、in vitro mutagenesisを用いて独自に作成した。次に、V1a受容体の拮抗薬であるOPC21286の存在下では、V2受容体mRNAの発現が、さらに増加することを確認した。そこで、AVPのかわりにV2作用のみを持つdD-AVPの存在下ではAVP存在下よりも多く発現し、V1a受容体拮抗薬の存在下とほぼ同じレベルであることがわかった。このことは、V1a受容体の存在が、V2受容体mRNA発現を抑制していることを意味している。 さらに、新しく作成したV2受容体に対する抗体を用いて、まず、脱水時のV2,V1a受容体の発現を検討した。今までは、脱水という水保持すべき時にも、V2受容体はdownregulationされるという報告が一般的であり、我々の古い抗体でも、同様の結果であった。ところが、今回の抗体では、脱水では、upregulationされており、これは、生理的に説明し易い。さらに、そのメンブレンをstrippingして、V1a受容体に対する抗体で染め直したところ、V1a受容体はdownregulationされており、V2,V1a二つの受容体は正反対の変化をしていることが判明した。以上のことより、V2,V1a受容合の発現には、連関があることが判明した。 次に、市販のcell lineを用いてV1a, V2受容体の発現の有無を検討している。MDCK、LLCPK1では、V2受容体の発現を確認した。現在、V1a受容体を過剰発現させるためにV1a受容体mRNAのトランスフェクトによる、V1a受容体蛋白に発現実験中である。
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