[目的] 低酸素により血管内皮細胞でNOが生じる過程でサイトカインが関与しているという仮説を証明することを最終目的とする。今年度は低酸素性脳障害の発生機序の増悪に関与するNOがどの組織由来であるかを確認する実験を行った。 [方法] 低酸素負荷ラット大脳皮質スライス灌流モデルを用い、30分間の低酸素負荷を行った。今回は、NOSinhibitorとしてnNOS選択性の7-nitroindazole(7NI)を、低酸素負荷60分前から低酸素負荷終了まで灌流液中に混合する。スライスは負荷前、負荷後2時間まで時間を決めて採取する。20μmの凍結切片を作成し、peroxynitrite生成のマーカーであるニトロチロシン(NT)染色を行った。 [結果] 低酸素負荷によりNT陽性細胞は増加した。低酸素負荷中に7NIを添加することにより、NT陽性細胞は減少した。 [考察と展望] 低酸素性脳障害早期にはnNOS由来のNOが関与していることが示唆された。今後、iNOS選択性のNOSinhibitorを用いて同様の実験を行う。さらに同じ実験モデルにおいてIL-1β抗体による染色を行い、NT陽性細胞とIL-β発現細胞の関係を検討する。
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