研究課題/領域番号 |
13671143
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
河野 寿夫 杏林大学, 医学部, 教授 (10306673)
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研究分担者 |
野田 絵里 杏林大学, 医学部, 助手 (70360104)
渡辺 浩志 杏林大学, 医学部, 助手 (50281332)
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キーワード | HFO / CMV / IL-8 / NF-κB / EMSA / TNF-α / 肺損傷 / サーファクタント欠乏 |
研究概要 |
昨年度までに、サーファクタント欠乏肺モデルを用い、高頻度振動換気(HFO)と従来の換気法(CMV)の比較により、CMVにより惹起される肺損傷にTNFαが関与していることを示し、人工換気後の肺洗浄液中の多核白血球、肺胞上皮細胞におけるTNFαがCMVで強く発現することを示した。 本年度も引き続きCMVによる肺損傷の機序を明確にするため以下の実験を行った。 1.人工換気によるIL・8産生について 好中球走化活性を有するとされるIL・8の発現がCMVによる肺損傷に関連があるかどうかの検討を行った。家兎のサーファクタント欠乏肺モデルを作成し、HFOまたはCMVにて換気し、人工換気後の気管内洗浄液中IL-8濃度を測定したところ、HF0群はCMV群に比べて有意に低値だった。肺組織中のIL-8をWestern-blottingで確認したところ、CMVでHF0に比べて強い反応を示した。免疫組織化学染色では、CMVではH1FOに比べて強く染色された。以上の結果から、人工換気によるIL・8の産生は、CMVに比べてH1F0では抑制される事が示された。 2.NF-κBの活性化に関する実験 CMVによる肺損傷成立には、NF・κBの活性化が関与しているという仮説のもと検討を行った。1.と同じ肺洗浄しサーファクタント欠乏状態とした家兎を用い、換気終了後の肺組織におけるNF・κB活性をEMSA、Southwestern組織化学で検討した。全肺におけるEMSAでは、CMV1時間、4時間ともにNF・κBの活性化が認められた。それらと比較して、正常肺、HF01時間、4時間ではNF-κBの活性は軽度であった。4時間換気後洗浄肺におけるEMSAでは、CMV, HF0ともにNF-κBの活性化は認められたが、両者間に大きな差はなかった。Southwestem組織化学では、NF-κBの活性を認める肺胞上皮細胞は、いずれの群も多くは認められなかった。以上の結果から、CMVによる肺損傷成立には、NF・κBの活性化が関与していると考えられた。
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