研究課題/領域番号 |
13671156
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山口 徹 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00239899)
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研究分担者 |
杉本 利嗣 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00226458)
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キーワード | 骨芽細胞 / カルシウム感知受容体 / 石灰化 / アルカリファスターゼ / オステオカルチン |
研究概要 |
骨芽細胞にはカルシウム感知受容体(CaR)が存在し、Ca2+を感知し、その遊走・増殖能を亢進させるとされている。一方、最近CaRノックアウトマウスにおいて、著明な副甲状腺機能亢進による骨微小環境での高Ca濃度にも関わらず、骨石灰化障害を認めたとの報告があり(Garner SC et a1. Endocrinology 2001)、骨芽細胞におけるCaR発現がその石灰化に不可欠である可能性がある。今回我々は、この点をマウス骨芽細胞様MC3T3-E1細胞を用いてin vitroの系において検討した。 マウスCaRの翻訳開始点ATGの5bp上流からの324bpを、MC3T3-E1細胞のcDNAをtemplateにしたPCRで増幅し、pcDNA3ベクターに逆方向に組み込み、CaRアンチセンス(AS)ベクターを作製した。MC3T3-E1細胞にベクターのみ、あるいはCaR-ASベクターをtransfectionし恒常的発現株を作成した。WesternBlot法及びRT-PCR法によりCaR-AS株においてCaR発現低下を確認した。細胞は3週間培養し、ALP活性はALP染色で、石灰化能はb-グリセロリン酸、アスコルピン酸存在化にAlizarin Red法とvon Kossa法にて検討した。加えて、1型collagen(COLI)、osteopontin(OPN)、osteocmlcin(OCN)の発現をNorthern Blot法、及びRT-PCR法にて検討した。CaR-AS株はコントロール株に比べて1週間培養でALP活性の低下、3週間培養で石灰化能の低下を認めた。AS株において骨基質蛋白のうち、COLI、OPNの発現には明らかな差を認めなかったが、OCNの発現は著明な低下を認めた。 骨芽細胞は分化段階に応じた骨基質蛋白を分泌し、石灰化の過程へと成熟をとげる。CaR-ASベクター導入による内在性CaR発現低下により、MC3T3-E1細胞において成熟段階で見られるOCNの発現や石灰化能の低下を認めた。このことから骨芽細胞においてCaR発現は、分化後期の石灰化能獲得に重要である可能性がin vitroの系において初めて示唆された。今後、nornal CaR vectorをMC3T3-E1細胞に過剰発現させ、反対にALP活性、OCN発現、石灰化能が亢進するかどうか確認したあと、研究成果を論文発表する予定である。
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