シクロオキシゲナーゼ(COX)-2は、サイトカインやホルモン等の刺激により誘導されるプロスタグランジン(PG)合成酵素であるが、骨代謝における役割は不詳である。現在まで、COX-2-(-/-)マウスを用い、COX-2の骨代謝調節、特に骨形成における関与について検討した。 【方法および結果】 1.骨塩量(BMD):COX-2-/-マウス(3ヶ月齢)では野生型(+/+)に比べて脛骨では9%、大腿骨では7%減少した。 2.骨形態計測:2ヶ月齢のCOX-2+/-マウスでは、COX-2+/+に比べて脛骨骨量(TBV)が40%、石灰化速度(MAR)が15%減少した。破骨細胞面と破骨細胞数は、両者に有意差はなかった。6ヶ月齢ではTBVは両者に有意差はないが、MARと破骨細胞数は+/-マウスで各々34%、42%減少した。 3.骨髄間質細胞:-/-マウス由来骨髄間質細胞は+/+と比し、ALP活性、ALP染色、オステオカルシンmRNA、I型コラーゲンmRNA発現(培養14日目)、von Kossa染色(培養21日目)は全て低下し、PGE2(10^<-6>M)の投与にて何れも回復した。 4.初代培養骨芽細胞(POB):-/-マウス由来POBは+/+と比し、ALP活性、ALP染色(培養7日目)共に低下した。 5.COX-1(-/-)マウスとの比較:COX-1-/-マウスは、上記全てのin vivo及びin vitro解析において+/+との間で有意差を認めなかった。 【結論】 以上COX-2-/-マウスを用いた解析より、COX-2は炎症等の病的刺激下のみならず生理的条件下においても骨代謝調節機能を有する事、その際、骨髄間質細胞・骨芽細胞の分化や活性化機能を介して、骨吸収よりもむしろ骨形成誘導機能に関与する事が示唆された。
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