研究概要 |
日本人若年発症糖尿病患者に対する遺伝子変異スクリーニング<研究分担者:檜尾好徳、平井完史(遺伝子変異解析)、鈴木進(対象患者資料の構成と臨床解析)> HNF-1α遺伝子変異スクリーニングを193名の日本人NIDDM患者のDNAに対して行い、4種のミスセンス変異および3種のフレームシフト変異を、HNF-1β遺伝子変異スクリーニングを57名の日本人MODY患者のDNAに対して行い、そのうち1種のナンセンス変異を、HNF-4α遺伝子変異スクリーニングを57名のMODY患者に対して行い、1種のミスセンス変異を同定した。 HNF-1αに関しては、9種の多型のうち、5種はエクソン内に、5種はイントロン内に認めた。これらの多型のうちエクソン1コドン27A/C多型およびエクソン7コドン459C/T多型においてそれぞれアリルC,Tと発症年齢との相関が認められた(p<0.05)。また、エクソン1コドン17C/G多型およびエクソン1コドン27A/C多型においてそれぞれアリルG、CとBMIとの相関が認められた。(p<0.05)。これらとは別に、非糖尿病患者に認めない5種の変異をエクソン1、2、4に1種づつ、エクソン6に2種認めた。これら5種のうち、3種はアミノ酸変異をともない、そのうち1種はDNA結合ドメインに存在した。HNF-3βに関しては、8種の塩基置換が認められ、そのうち4種は我々が既に報告した多型(5´上流に1種、エクソン3に3種)、2種は既に報告した変異(S109N,A328V)であったが、エクソン1に2種の新しい変異(nt645,666)を認め、これらは報告が無い。 遺伝歴を有する若年発症糖尿病患者で、HNF遺伝子の多型および塩基変異を認め、同遺伝子多型が糖尿病の臨床像と相関することを認めた。これらが、遺伝性若年発症糖尿病の病因に関わる可能性が示唆された。 これらの結果よりHNF-1αやHNF-3β遺伝子変異の検索およびその機能解析は、他の糖尿病関連遺伝子変異が認められない2型および1型を包含する若年発症糖尿病の発症機序解明に貢献すると考えられる。
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