研究概要 |
1.日本人若年発症糖尿病患者に対する遺伝子変異スクリーニング<研究分担者:檜尾好徳(遺伝子変異解析)、鈴木進(対象患者資料の構成と臨床解析)>相互に非近親な1型および2型の日本人若年発症糖尿病患者および日本人非糖尿病対照から,試料提供者やその血縁者の人権と利益を保護することを確認する十分なインフォームドコンセントのもとに血液を採取,DNAを抽出し,HNF-3β遺伝子を含むHNF遺伝子変異スクリーニングをSNPsも含め全エクソン、プロモーター領域およびイントロン領域で直接塩基配列決定法により行った. 2.遺伝子変異解析<研究分担者:檜尾好徳(遺伝子変異解析)、平井完史(遺伝子変異解析)> HNF-1α遺伝子の計11種の多型のうちL17L(51C/G)多型とI27L(79A/C)多型に関して、若年発症糖尿病患者における発症年齢、BMIおよび拡張期血圧がそれぞれG、Cアリルで有意に高値であった(p<0.05).この傾向は正常対照群には認められなかった.また、正常対照群に認めない7種の遺伝子変異のうち、3種のミスセンス変異(R244S、S381K、A408G)を認めた.このうちR244S変異は発端者の母親の糖尿病患者にも認められた.HNF-1β遺伝子に関しては、既知の2種の多型を認めた.HNF-3β遺伝子に関しては、4種の既知の多型のうち、promoter領域nt 537(A to G)多型とコドン279(A to G)多型において、若年発症群でのAアリルが正常対照群より優位であった(p<0.05).また同遺伝子エクソン1に2種の新しい塩基変異(nt645、nt666)を認めた. 本研究結果から、家族歴を有する若年発症糖尿病患者において、HNF-1α遺伝子エクソン1多型が遺伝性若年発症糖尿病の病像の多様性に関わる可能性が示唆された.
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