研究概要 |
transferrin受容体を介したin vivoでのLDL受容体遺伝子導入に成功し、血清コレステロール、LDLコレステロール低下およびリンパ球におけるLDL受容体遺伝子発現を確認した。 合成陽性脂質である(+)-N, N[bis(2-hydroxyethyl)-N-methyl-N-[2,3-di(tetradecanoyloxy)propyI]ammonium iodideと中性脂質であるDOPEからなるリポソームに対して、transferrinをリガンドとして結合させたのち、rabbit LDL受容体cDNAを高発現プロモーターを含むベクター(PTARGET)に結合させたconstructを用いてリポソーム-リガンド-DNA複合体をしたうえ、HIHHL家兎に静注投与した後血清総コレステロールおよびLDLコレステロール値を経時的に測定した。LDL受容体cDNA50μg投与で、7日後に最大、総コレステロールは約10%(P<0.05)、LDLコレステロールは約12%(P<0.01)、LDL受容体cDNA100μg投与で、10日後に最大、総コレステロールは約18%(P<0.05)、LDLコレステロールは約20%(P<0.01)の低下を認め、3週間後に投与前値に復した。また、上記のリポソーム-リガンド-DNA複合体をmm家兎に静注投与した後、経時的に採血し、リンパ球におけるLDL受容体mRNAの発現を検討した。LDL受容体cDNA100μg投与後、5日で最大の発現(対照の5倍)を認めた。 今回用いた遺伝子導入法は、ウイルスベクターを用いない方法で、安全かつ容易に導入が可能で、他の遺伝子導入にも広く応用できる有用な方法である。
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